ボッケリーニ・クァルテット

 古楽器による弦楽四重奏団、ボッケリーニ・クァルテットの1986‐87年にかけてのツアー・パンフレット。

 実は、私はこの演奏会を聴いたのではありません。

 86年秋、この演奏会の会場となった博多駅前のホテル・クリオコートにて、ある室内楽の演奏会に参加しました。

 当夜のプログラムにこれが挟まれてあったのです。

 広報用フライヤーを兼ねたプログラムだったのでしょうか?

 26歳の私は、すでにベートーヴェンの後期四重奏曲の沼にハマっていました。

 しかし、まだ未熟な私には、古楽による四重奏への関心が高まらず、今ではとても大きな悔いを残しています。

 この年、鈴木秀美さん、#若松夏美 さんは30歳を迎えられ、当時の雑誌《音楽の友》に日本の古楽のパイオニアとして、有田正広さんとともに紹介された記事を明確に記憶しています。

 そして、2年後の89年、東京バッハ・モーツァルト・オーケストラが設立され、同年4月に福岡市で3日間の演奏会が開催されました。

 東京公演に先駆けてのものでしたから、日本で最初の本格的な古楽オーケストラが鳴ったのが、何と私たちの福岡県なのです。

 それは、その翌年に、現在の新福岡古楽音楽祭の前々進であます《おぐに古楽音楽祭》の第1回へと発展したのです。

 この福岡での古楽の河の源流をこしらえ、そして河となるまでを支えられたのが、旧音楽祭の主催団体会長を務められた佐賀県唐津市の陶芸家、中里隆さんです。

 下の画像に記載されているツァー・スケジュールに、中里さんの工房、隆太窯にての公演があります。

 この工房での演奏会は、1978年よりスタートした九州での本格的な古楽演奏会の幕開けで、現在も継続しています(2019年からコロナ禍でお休みのよう)。

 福岡における古楽の夜明けのころの貴重な資料、大切に保管しておいて良かったと思うばかりです。

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