ベートーヴェン後期弦楽四重奏曲連続演奏会

 フライヤーを整理しながら、ベートーヴェンの後期四重奏曲の全曲演奏会の実施は、こんなに前だったことに驚きました。

 2014年から16年のことです。

 クァルテット・エクセルシオに年2回来演していただき、1曲ずつ計6回。

 全曲の連続演奏会としてはとてもスローペースです。

 一般的には2曲ずつ計3回くらいで一年で計画するでしょう。


 しかし、後期四重奏曲は精神的に密度の高い音楽ですから、それだけでの構成では、当時の直方のオーディエンスには負担が大きい、他の作曲家の作品と併せた方が、ベートーヴェン作品に共鳴してもらえると考えたのです。

 この企画は、エクにとって、直方だけでした。


 すでにエクはベートーヴェンの弦楽四重奏曲をどの曲でも、いつでも引出せる域にあったでしょうが、随分と無理なリクエストに応えてくれたものです。

 また、オーディエンスのことを考えても大きな冒険でしたが、その前年、会場が敬虔な空気が溢れ、「今こそ!」と思ったのです。


 作曲順で聴いていただきました。

 後期四重奏曲は、番号と作曲順が異なるのです。

 作曲順は以下です。

  12番 作品127

  15番 作品132

  13番の大フーガver. 作品130(&133)

  14番 作品131

  16番 作品135

  13番の新最終楽章(絶筆)→最終回は13番を新最終楽章ver.で。


 作曲順に拘ったのは、晩年のベートーヴェンの生活・精神背景が手に取るように感じられ、楽聖の人間らしさに触れることができるからです。

 後期四重奏曲は際物の音楽ではなく、誰の人生にも共鳴できるものと体感してほしかったのです。


 回を重ねる度に、オーディエンスがエクに還す反応がどんどん熱くなり、オーディエンスの成長の様を感じ取りました。

 直方とエクセルシオが固い絆を築いた3年でした。





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