【レビュー①】第48回直方谷尾美術館室内楽定期演奏会
寺神戸 亮さんの解釈ですが、妻を亡くしたバッハの心の吐露に心奮えたとのお言葉をたくさんいただきました。
また、この無伴奏ヴァイオリン作品集にこのような背景解釈を初めて知った方も多く、実は寺神戸 亮さん自身もこの曲集を長年奏で続けられ、ここ数年になってのことと。
近年、奥様を亡くされた方が数人来てくださり、感謝の言葉を頂戴しました。
もったないです。
こちらこそ感謝です。
お一人、今回の演奏会でお気持ちの転換・昇華ができればと声掛けしました。
しかし、演奏会当日の朝に、室内楽定期演奏会と直方は亡くされたご家族との思い出が多すぎて、今は耐えきれない…と返信をいただきました。
大粒の涙がこぼれました。
最後に
《遠くから、いつも、直方のことを思っております。渡辺さん、どうか、いつまでも、お元気で。》とありました。
このように想っていただき、室内楽定期演奏会は果報者です。
この方が室内楽定期演奏会に、直方に来れるほどに心が回復するまで、私は生きることを諦めないで、演奏会を継続しなければいけないと思いました。
一方で私はソナタ第3番のフーガを聴き、10年前に亡くなった父にずっとつれなくしたことを悔いました。
父が認知症になり、ようやく優しくなれたのです。
遅かったです。
それぞれの方がバッハの無伴奏ヴァイオリン作品と、自分の人生を重ね合わせてくださった...そのような一夜でした。
オーディエンスにとって、演奏会がこのような存在となり、とても幸せです。
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