F.J.ハイドン 弦楽四重奏曲 ニ短調 作品76-2 Hob.Ⅲ‐76《五度》

当夜の演奏曲目を1曲ずつ紹介いたします。

F.J.ハイドン

弦楽四重奏曲 ニ短調 作品76-2 Hob.Ⅲ‐76《五度》

ハイドンは弦楽四重奏を拓いた一人です。

なんと、最初期の曲は夜会などのためのBGMだったのです。

それを芸術作品へと高め、その後の弦楽四重奏の源流を成しました。

作品76(全6曲)はそうしたハイドンの晩年の傑作集です。


この曲集を完成する数年前に、ハイドンは2度におよぶロンドン公演で大成功をおさめ、人生の頂点にありました。

円熟の手腕を振るってのこの曲集、完成度の高い、洗練された粒ぞろいの曲ばかりで、有名な《皇帝》もその1曲。

その中でも、ひと際、秀逸な仕上がりを聴かせるのが今宵の《五度》で、短調を生かした憂愁・陰影が印象深くあり、若いころに傾倒したロマン主義への傾倒再びでしょうか?


タイトルの由来は第1楽章の冒頭に奏でられる五度音程の主題によります。

嘆きとカオスの第1楽章。

彷徨の第2楽章。

第3楽章のカノンは自己問答の堂々巡りのようで、それらを振り切った雲外蒼天のような第4楽章は清々しい限りです。


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