E.グラナドス ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
当夜の4曲を順次、紹介していきます。
前半の2曲のテーマ
《カザルスの同胞と同時代、そして戦争》
まずは、グラナドスです。
E.グラナドス
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
こちらがその動画です。
グラナドスは、カザルスとは9歳年上で、同じスペインのカタルーニャ地方に生まれました。
代表作であります《アンダルーサ》、《オリエンタル》、歌劇《ゴイェスカス》の間奏曲などを、ピアノ独奏をはじめ、ヴァイオリンやチェロのための小品として親しまれていた方も多いはず。
明快で印象的な素晴らしい旋律を泉のように湧き出すことから、カザルスは《スペインのシューベルト》と呼んだのです。
そうしたグラナドスが、私たち人類の愚行である戦争の犠牲になったことを覚えておかねばなりません。
第1次世界大戦中、グラナドスは代表作、歌劇《ゴイェスカス》のニューヨーク初演に臨席しました。
しかし、その帰途に悲劇が起こったのです。
乗っていた客船がドイツの潜水艦に撃沈され、48歳で帰らぬ人に。
カザルスは、グラナドスの遺児のために、友人のヴァイオリニスト、クライスラーとともに慈善演奏会を行いました。
今宵のソナタは亡くなる6年前の作とされ、第1楽章のみの未完です。
彼の作風は、スペインの民族性とロマン派音楽の抒情性の融合にあります。
しかし、この曲では前者が影を潜め、フランス印象派の影響が大で、その洗練された色彩感に《これがグラナドス?》と驚かされるほどです。
さて、この曲、演奏機会が極めて稀少で、最後に九州で演奏されたのはいつのこと?
私自身、今回が最初で最後の機会にとなりましょう。
そして、このグラナドスのソナタをライヴ体感するために、遠方から小都市直方へ足を運んでも全く惜しくはないと保証いたします!
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