河野文昭さんと当会とのご縁について

当夜の出演者、河野文昭さんはこの室内楽定期演奏会の第1回を飾っていただいた方であり、今回はその河野さんとのご縁についてです。


私と河野文昭さんとの出会いは40年ほど前。

元・九州交響楽団コンサートマスターの岸邉百百雄氏が主宰する九州初の常設の弦楽四重奏団、福岡モーツァルト・アンサンブルでした(1975-1994年)。

河野さんはこの四重奏団の後半期のチェリストを務められたのです。

そして、私にとって初めての弦楽四重奏の生体感でした。



この四重奏団には、後援する《聴く会》が福岡市、北九州市、宗像市、佐賀市にあり、それぞれの会場で年4回の定期演奏会を開催していました。

現在もそうですが、日本の弦楽四重奏団で年4回の定期演奏会を開催する団体は極めて少なく、4会場合わせて、700人近い聴衆が弦楽四重奏曲を堪能していたことは日本の弦楽四重奏史では異例なことだったのです。


その純粋な活動に私は決定的な影響を受け、1989年に直方に定期演奏会を興し、四重奏団解散の94年まで継続しました。

上の写真は、1994年3月の最後の演奏会です。


その5年間、河野さんには定期演奏会19回、リサイタル4回、計23回も直方にご来演いただいたのです。

そして、河野さんと盃を交わしながら、弦楽四重奏や音楽振興について、胸襟を開いて熱く語り合い、それが室内楽定期演奏会の理念を築いてくれたのです。

このようなことから、この室内楽定期演奏会の第1回の出演者は河野文昭さんしか考えられませんでした。



こうした得難い縁に恵まれ、当夜、再び、奥深い室内楽作品を河野さんたちと堪能できることに。

その幸せには感謝しかありません。

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