2月9日(日)第57回定期演奏会 福岡発弦楽四重奏団育成プロジェクト4 ②
最初の曲は、このプロジェクトの1より連続演奏を始めたハイドンの作品76の第5曲の《ラルゴ》です。
こちらがその動画です。
この作品76はハイドン65歳の晩年の傑作集で、
2度におよぶロンドンの演奏旅行の成功に裏付けられた自信と円熟の境地を聴かせます。
6曲それぞれが個性的で、6曲中4曲にタイトルが付けられ、ハイドンの弦楽四重奏曲の中で最も親しまれているものばかり。
当夜の《ラルゴ》はチャーミング、ユーモア、高潔な推進とハイドンらしいが全開ですが、
それらに加えてこの曲のタイトルとなりました第2楽章《ラルゴ》(動画4分55秒~)の抒情性には次なるベートーヴェンらのロマン派の音楽の到来を予見させます。
この曲が完成される数年前に、ベートーヴェンはハイドンに弟子入りするために、故郷ボンからウィーンに移り住みます。
そして、師の弦楽四重奏曲の上演に接して、技法を直に掴みとり、3年後に生み出す初の弦楽四重奏の処女作作品18の構想を練っていたことでしょう。
その一方でハイドンも弟子の情感あふれる作品影響され、若いころに傾倒したロマンティズムに回帰したのではないでしょうか?
ハイドンとベートーヴェンの接点を知る上で特筆すべき1曲で、
この曲とベートーヴェンの作品18の第2番、第3番を続けて聴きますと見事に繋がるのです。
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