Ensemble+PLUSについて【次回演奏者のご紹介】
次回、2019年5月19日(日)に行われる第35回直方谷尾美術館室内楽定期演奏会の演奏者であるEnsemble+PLUSについて、今回完成したばかりのかわら版の記事やこれまでの記事を使ってご紹介いたします。
まずはかわら版より、Ensemble +PLUSのリーダー 佐藤仁美さんのメッセージです。
-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-
こんにちは。Ensemble +PLUSの佐藤仁美です。この室内楽定期演奏会とのご縁は2015年の日髙剛さんのホルン・リサイタルの客演に始まり、17年には直方市出身の素晴らしいピアニスト、占部由美子さんとの共演という願ってもない機会をいただきました。
驚きましたことに、実行委員長の渡辺伸治さんが私の恩師に太期晴子先生と深いつながりがあり、太期先生が所属されていた弦楽四重奏団、福岡モーツァルト・アンサンブルの定期演奏会を直方市で実施されていたことです。
太期先生は私を中学生の思春期のころよりあたたかく、時には厳しく見守ってくださった人生の師匠です。そして太期先生が20年ばかりライフワークとしてされていた弦楽四重奏の活動を身近で見て、「いつかは弦楽四重奏をやりたい」という気持ちが生まれたのです。
しかし弦楽四重奏は、弦楽器奏者にとって何よりも高い山であり、憧れでもあります。そのために一緒に研鑽していくメンバーを揃えることや演奏会の定期開催など沢山の難題があるのです。ところが渡辺さんより「福岡の演奏家による弦楽四重奏の演奏会をぜひ直方で‼」と熱く語り倒されて(笑)、メンバー、渡辺さんと沢山の時間をかけて話し合い、今回に至ったのです。
【サイト主より一言:この熱く語り倒された時の様子も後述いたしました 】
私たちEnsemble +PLUSは、九州交響楽団の弦楽奏者三人を母体に、毎回ゲストを招いての自主公演を年2回、福岡市で開催してきました。5年を重ね、定期開催を継続する厳しさと大切さをひしひしと感じています。しかしこの三人での積み重ねがあったからこそ、こうして弦楽四重奏に挑戦できると信じています。
さてもう一人のヴァイオリンは我が九響の中で最も若手の秀逸な葉石真衣さんを招きました。 葉石さんは入団してしばらくは東京藝術大学大学院と両立しながら、オーケストラの仕事をこなすという、驚異的な精神力の持ち主です。彼女の若さ溢れる音楽に刺激を受け、リハーサルを重ねています。
ところで皆さまはクァルテット・エクセルシオの演奏に親しんでいらっしゃいます。それは私たちにはとてつもなく大きなプレッシャーです。しかしこの貴重な機会をいただきましたからには、私たちの精一杯の挑戦をお楽しみいただけるようにと祈っています。
-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-
次に、同じくかわら版より、渡辺氏のEnsemble +PLUSにかける想いと皆様へのお願いです。
-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-
べートーヴェン生誕250年の来年2020年にこの室内楽定期演奏会は10周年と第40回の大きな節目を迎えます。スタート当初、クラシック音楽初心者の方が多くありましたが、今では演奏に反応を還すまでに成長され、会場は熱い空気に満ちています。それはクラシック音楽の核である弦楽四重奏をシリーズで聴き重ねることができたからです。そうです。私たちはクァルテット・エクセルシオに育ててもらったと言えましょう。
ではエクを育てたのは誰でしょう?弦楽四重奏は4人の意志を統一して音楽と響きを作るために、1人前の演奏を聴かせられるまでに10年以上の歳月を要します。エクにも聴衆を満足させられなかった時があったはずです。それでも現在があるのは、結成からの25年間、東京・札幌・京都での主公演を聴き、支援してきた聴衆です。私たちはその方々が育ててきた収穫をご馳走になっていることを忘れてはいけません。
そのお返しとして私たちができることは、私たちの地域発の弦楽四重奏団を育てることではないでしょうか?日本では室内楽活動を生業にすることはほぼ不可能です。さらに弦楽四重奏団の継続は極めて難儀で、首都圏でも年2回以上の定期公演を実施し、10年以上の活動を継続している団体は片手ほどです。
本年1月、Ensemble +PLUSは第10回演奏会で大きな飛躍を聴かせました。機は熟し、Ensemble +PLUSが弦楽四重奏団へと発展する時です。
九州には常設の四重奏団がありません。【注】
私たちで地域発の常設の四重奏団を育てましょう!
皆様にこの生まれたての四重奏団の里親になっていただきたいのです。
【注】「九州唯一の常設弦楽四重奏団、34年の活動に幕」の記事はこちら
-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-
最後に、内容の重なる部分もありますが、渡辺氏が佐藤さんに熱く語り倒された時の様子も記載された第29回室内楽定期演奏会【Ensemble+PLUS&占部由美子】の記事より抜粋。
-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-
九州交響楽団の中核を担う弦楽奏者、佐藤仁美さん、猿渡友美恵さん、重松恵子さんによるEnsemble+PLUSのご出演です。(注)
九響入団以前より親交のあった3人が、自分たちの音楽に向き合い、演奏者と聴衆とが一体となる演奏会を目指そうと2014年に発足。弦楽三重奏を基本に客演を招き、年2回の自主公演を持つ貴重な団体で、今後の成長・飛躍を見守っていきたいと思っています。
(注)2012年10月7日(日)、私は九州交響楽団の拠点である末永文化センター(福岡市城南区)に大きな期待を抱いて向かいました。ここで定期開催されている九響楽員による末永の森コンサートがお目当てでした。九響の中核を担う弦楽器奏者とピアニストの中川淳一さんがブラームスのピアノ五重奏曲を演奏するというから血沸き肉踊るは必至。
http://www.suenaga-bunka.or.jp/concert/034.shtml
聴きごたえ十分!現在の九響の充実ぶりを存分に感じさせられました。特に第一ヴァイオリンの佐藤仁美さんが素晴らしいリーダーシップを発揮され、ほれぼれしたものです。単発で終わらないことを願いました。
そして一年と半年ほど経た2014年2月、この時のチェロ奏者だった重松恵子さんから、佐藤さん、猿渡友美恵さんの3人で定期的な活動を続けることになったと聞いたのです。
それがEnsemble+PLUSです。その年の春に福岡市でゲストに中川さんを招きデビュー演奏会を開いたのでした。
この団体が弦楽四重奏団へと発展し、福岡発の四重奏団が誕生することを切に祈ったのです。
Ensemble+PLUSが発足した翌年の2015年7月にヴァイオリンの佐藤仁美さんが室内楽定期演奏会にご出演くださいました。日高剛さんのホルン・リサイタルの客演です。
ブラームスが亡き母を追悼したホルン三重奏曲を佐藤さんはしっとりと奏でてくださいました。素晴らしい。彼女ら3人に良き第2ヴァイオリンが加われば、福岡発の秀悦な弦楽四重奏団が誕生すると確信しました。
その思いを打ち上げで佐藤さんにぶつけることに。佐藤さんも同じ思いでした。しかし第2ヴァイオリンが見つからない。
日本人の室内楽演奏会のほとんどが自主公演で、手弁当または手出しで実施されています。もちろん「お座敷(お仕事演奏会)」は別です。だから同じ価値観を持っていないと活動を共にはできないでしょう。3人が集まっただけでも奇跡かもしれません。
熱く語り合う中、佐藤さんが「そんなに私たちを焚きつけたって、この演奏会にはクァルテット・エクセルシオがレギュラー出演しているから、私たちの出番が無いぢゃない!」と可愛くスネる。
「では、あなたたちが弦楽四重奏団となった暁にはこの演奏会のレジデンス(専属)にしましよう。福岡発の四重奏団を擁することはこの演奏会の宿望だから。」と答えました。
「ホント~?」佐藤さんは喜び一杯に言い放たれたのです。まるで夏休みに旅行の約束をもらった子供のように。横でピアニストの中川淳一さんが優しい笑顔で見守っていました。
こうして福岡発の弦楽四重奏団への発展を目指して、私たちの「熱苦しい約束(笑)」が交わされたのでした。とは言え、2ndヴァイオリンの人選には慎重でしょう。長期的に待つことにしました。
しかしその間に指をくわえて待つより、Ensemble+PLUSを室内楽定期演奏会で度々紹介し聴き手と顔馴染みにしておくことにしました。そうすれば四重奏団へとなり、レジデンス(専属)とした時に聴き手とで喜びを分かち合えましょう。
-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-
以上、ご紹介してきました地域発の弦楽四重奏団ですが、その生まれる現場に立ち会う機会も滅多にないと思われます。
会場でお会いしましょう!
0コメント