L.v.ベートーヴェン ピアノとチェロのためのソナタ 第5番 二長調 作品102-2

第37回直方谷尾美術館 室内楽定期演奏会の終曲、ベートーヴェン作品です。

こちらがその動画です。

 ベートーヴェンは43歳の時に中期の集大成である交響曲第7番を完成しますが、その後に創作のスランプに陥り、作品数は激減。

 さらに私生活では弟の病気、パトロンの引退・死没による経済的困窮に悩まされていました。

 ところがそのような八方ふさがりの最中に新しい局面を拓く曲が降りてきたのです。

 2曲のチェロ・ソナタ、第4番と今宵の第5番です。

 これまでの壮大な規模や強固な構築性は影をひそめ、感情の思うままに書かれ、内省的な深みを持った瞑想的な音楽となっています。

 晩年のピアノ・ソナタや弦楽四重奏曲などで聴ける後期の作風の始まりです。

 第1楽章は、輝かしく、奔放かつ大胆な音楽です。

 苦境の渕から抜け出せる兆しを見出した喜びでしょうか?

 第2楽章では救いを求めていたベートーヴェンの心の内が痛々しいほど描かれています。

 中間部でのほのかな希望の広がりは、天上の音楽のように美しいです。

 そして、第3楽章。

 天から降りてきたチェロの主題に、ピアノがそれを受け継ぎ、壮大なフーガが繰り広げられ、まるで神がベートーヴェンに宿ったかのようです。



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