第43回直方谷尾美術館 室内楽定期演奏会
今期より新しくスタートする古楽シリーズ、第1弾は寺神戸亮さんによるJ.S.バッハ無伴奏ヴァイオリン作品 全6曲演奏会の第1夜です。
バッハ以前のイタリアの器楽の大家、コレッリ以来、6曲集の場合、前半に教会ソナタ(ソナタ)3曲、後半に室内ソナタ(パルティータ)を置くことが伝統でした。
しかしこの曲集ではソナタとパルティータが交互に配列され、寺神戸さんはこの異例の配列に重要な意味があると指摘されます。
それは、同じ番号のソナタとパルティータが組となり、
・最初の2曲、すなわちソナタ1番とパルティータ1番はそれぞれに悲壮感の表現であり、その中に慰めや人生の喜びなどを織り込んだもの
・第2番の2曲はさらなる絶望感から復帰、希望への転換
・第3番は別れと祈り、そして昇華
それらによって、バッハの宗教観と人生観が見事に貫かれ、さらには綿密な構成感が築かれ、彼の最高峰作品の一つになっていると語られました。
さて、2夜に分けての全曲演奏会の場合、ソナタとパルティータの第1番の後に、有名な《シャコンヌ》を含むパルティータ第2番を配するのが常套です。
時間配分が良く、《シャコンヌ》が第1夜のクライマックスを堂々と飾ってくれるからです。
ところが、寺神戸さんはこの曲集の配列にある意味を探りたいと、今回はそれに従ったプログラムを提案されたのです。
寺神戸さんのバッハへの対峙、期待が高まります!
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