5月10日(土) 第59回定期演奏会 若松夏美 大塚直哉②
数回に分けて、当夜の上演曲を紹介して参ります。
まずはバッハのヴァイオリンとオブリガート・チェンバロのためのソナタからです。
上演順とは異なりますが、第1~3番を順に紹介して参ります。
第1番 ロ短調 BWV1014
こちらがその動画です。
第1番の短調はバッハの4男との死別(1719年)に関連があるとされます。
第1楽章では悲痛と嘆きが延々と吐かれ、第2楽章は「なんでこんなことになっちまったんだ?」と言わんばかりの憤りが投げつけられます。
続く美しい第3楽章は想い出に慰められるオアシス。
そうした安らぎの後に襲ってくるのはとてつもない寂寥です。
第4楽章の激しい感情の高ぶり、心が凍てつきます。
バロック時代、音楽は主に宗教礼讃のためにあり、作曲家が楽曲に自身の人生観や人生体験を綴ることはありませんでした。
しかし、この4男の死の翌年には最初の妻バルバラが亡くなります。
僅かの間に起きたこの2つの痛烈な不幸は、意図せずとも楽曲に表れましょう。
さて第2番では…。
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